プロローグ:DOMOとCloudflareの出会い
~私たちの未来のネットワークへの挑戦の始まり
DOMOとCloudflareの出会いは、2018年8月のことだった
きっかけは、かつて共に仕事をしたことのあるI氏から届いた一通の転職の挨拶状でした。その後すぐに明らかになるのですが、彼の新たな転職先となった米国のスタートアップ企業は、驚くべきポテンシャルを秘めていたのです。
I氏によれば、「Network Edge as a Service(NEaaS))の領域で急成長している米国スタートアップです。AkamaiやVDMS(Verizon Digital Media Services)が提供しているサービスはすべてサポートできます。モバイルも含めたパフォーマンス向上サービスも提供しています」ということでした。
当時、私たちDOMOは、カナダ発のスマートフォンサイト変換サービス「Mobify(モビファイ)」の日本販売代理店として、すでに6年ほど実績を積み重ねていました。DOMOには、スマホ表示の高速化を得意とするコンサルティング会社という側面もあったのです。また「Edgecast」という、当時のMobifyにもバンドルされていたCDN(Content Delivery Network)を長年扱っていた経験もあって、配信技術に関する知見は十分に蓄積していました。
そんな私たちの前に現れたのが、新進気鋭のCDNサービス「Cloudflare」だったのです。さっそくCloudflareの資料を見た当社の当時のCTO、Tは、直感的にその価値を見抜きました。「これは、ただのスタートアップじゃない。本物のユニコーンだ」と断言したのです。
事実、当時のCloudflareは、すでにMicrosoftやGoogle、百度(Baidu)などから出資を受けていました。そして2019年3月には、スタートアップの資金調達のシリーズEラウンドで、1億5,000万ドル(当時の評価額は約35億ドル/日本円で約3,800億円)を獲得したのです。累計調達額は約3億3,000万ドルに達する超巨大企業へと急成長している、まさに真っ最中でした。
そしてシンガポールで触れた熱気と確信
とはいえ、紹介を受けた当初は、DOMO社内でもなかなか理解が進まなかったのも事実です。提供された資料がすべて英語であったことに加え、これまで扱ってきたフロントエンド主体のMobifyとは異なり、Cloudflareは、DNSやセキュリティといったインターネットインフラの根本に関わる領域を含む、広大なサービスだったからです。
「この目で確かめるしかない」。そう決意した私たちは翌2019年3月、Cloudflareのアジア太平洋(APAC)の拠点であるシンガポールへと飛びました。現地で開催されたトレーニングプログラムに参加するためです。そこには、韓国、フィリピン、ベトナム、カンボジア、タイ、インドなど、アジア各国から約10社のパートナー企業が招待されていました。
当時のCloudflareは、日本国内ではまだ無名のサービスでした。しかし、現地で繰り広げられる熱いレクチャーと、アジア各国のパートナーたちが示す真剣な眼差しに触れるうち、私たちの心の中のスイッチも次第に入っていきました。そして国も人種も言葉もバラバラなメンバーが、1つの強力なチームになりそうな予感、というよりも確信を得るに至ったのです。
Cloudflareの周りには、これまで私たちが経験したことのないような、巨大なエネルギーが渦巻いていました。赤道直下のシンガポールで肌で感じたその熱量こそが、DOMOにとっての「新しい未来への挑戦の始まり」となったのです。
